日本の水際対策はどこまで入国制限が緩和されたのか

2021年11月8日に日本の水際対策として入国制限が緩和されました。主な内容は日本が認めたワクチンを2回接種している場合は、入国後10日間の待機期間を3日に短縮するというものです。

3日間に短縮されるという報道が出始めたときは大きなニュースで、留学から帰国する留学生も羽田や成田の近くのホテルで4泊するだけで解放されるので、大きな進歩だと思っていましたが、実際にこの制度の運用が判明するにつれてそれほど期待できるものではありませんでした。

今回の水際対策の緩和措置の概要

今回の水際対策の緩和措置の概要は、ファイザー・モデルナ・アストラゼネカのワクチンを2回接種した日本人帰国者についてこれまで10日間の隔離措置だったものを3日間へと短縮するというものです。

また、日本人の留学生には直接関係ないかもしれませんが、海外から日本へ留学する留学生や技能実習生はこれまで例外を除いて入国すら認めらていませんでした。それが今回から入国を認めるということになり、昨年から日本へ留学しようとずっと待機していた留学生や技能実習生にとっては大きなニュースとなりました。

もちろん、日本に入国前に陰性であることの証明が必要になりますし、また入国後4日目の検査で陰性が確認できないと自己隔離から解放されないことになっています。海外の留学生等の長期滞在予定者は入国はできますが確か3日間ではなく14日間の隔離が求められるはずです。記憶が少し曖昧ではありますが。

日本へ帰国する日本人については、当初3日間の待機期間短縮という報道が先走り、いかなる目的においても日本へ帰国する日本人帰国者(ワクチンフルで接種済み)については3日間の待機へと短縮されるものと理解もできましたが、実際に蓋を開けてみるとビジネスや出張目的以外では3日間の短縮にはならないようです。

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3日待機のための手続き

ビジネスや出張目的で日本に帰国するとして、3日待機の短縮措置を適応しようと思えば、非常に煩わしくて面倒な手続きが求められるようになります。

受入責任者

まず大きな制約として帰国者を受入れる企業や団体が「受入責任者」をおかなければなりません。要は、帰国者が帰国した時から10日間の監視期間の間行動をチェックして監視する責任者を置く必要があります。

帰国者は陰性であれば4日目に解放されますが、その後7日間はこの責任者の監視体制のもとにおかれるようになります。そしてその日その日の行動について監視され報告をする仕組みとなります。

行動計画書の事前承認

しかも帰国者が日本に帰国するまでの間に、この受入責任者が行動計画書を作成し、それを関連業種を管轄する省庁に提出し審査を受け承認をもらわなければいけません。この審査手続きだけでも非常に大変です。

受入責任者を置くだけでなく、行動計画書も作成し提出する。。。関連業種所管の省庁の審査が遅れたり承認がなかなか下りず帰国日までに間に合わなければ、帰国者は入国できないということにもなってしまいそうです。

そして受入責任者は10日間監視をしておく必要があるので、受入責任者の負担も大変です。

なお3日間の待機期間短縮措置を受けずにこれまでの10日間待機(ワクチン接種済みが前提)であれば、日本人の帰国者はこの行動計画書を提出する必要はありません。

公共交通機関の制限

3日間の待機期間が終了しても、合計10日間の活動監視期間の間は「指定席など座席が特定できる公共交通機関の利用に限る」ということになっています。

いくら解放されたとしても自由席には座れないという事になるので、普通列車や各駅停車、私鉄の特急や準急などには乗れないという事になります。バスの利用もできません。

明示は無いが日本人留学生の帰国は対象外

はっきりとは書かれてありませんが、主にビジネスでの帰国者を前提に制度設計がされていることや、活動計画書を関連業種の所管省庁が審査し承認することを前提としているので、日本人留学生の帰国に対してこの待機期間3日短縮は適応されないと見てよいでしょう。

留学生個々人で受入責任者も置くことは中々難しいと思いますし、それができたとしてもどこに活動計画書を提出し審査を受けるようになるのか該当する省庁が見たりません。

また、企業側も恐らくこの制度では負担や労力も大きいと思われ、よほどの帰国者(部長や役員クラス)でない限りはこの制度の適応を見送り、通常の10日間隔離を選択するのではとも考えられます。

こういった手続き上の負担を考えれば日本人の留学帰国者も10日間隔離を前提に帰国することを考えた方が賢明です。

求められるのは更なる緩和と手続きの軽減

日本人の留学生帰国者の視点で考えると、これから更に求められるのは、3日間隔離でも、まずはワクチン接種済みの日本人に対しては目的を問わないこと。そして、そのうえで受入責任者の設置や行動計画書の提出が求められないようになることが直近の要望ではないでしょうか。

待機期間ゼロまで一気に進めば良いですが、慎重姿勢を崩さない政府や国民世論を考慮すると、段階的にワクチン接種済みの日本人に対しては目的を問わない帰国で3日間待機にする、そして受入責任者等の制限の撤廃が必要になってくるでしょう。

欧米諸国をはじめ東南アジアの国々でも隔離なしの入国が認められつつあります。世界をリードする日本として、そして自由で開かれたインド太平洋を引率していくリーダー国家として世界的にも存在感を示すためにも、いつまでも鎖国を続けているわけにはいきません。

また日本の若者の国際感覚やグローバル意識を高めて、世界に伍していける若い人材を育てていくためにも、気軽に海外に出て帰ってこれる環境づくりは今後も非常に重要になってきます。

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