ドイツ語力ゼロからスタートした、私のドイツ留学体験記

ドイツ語力ゼロからスタートした、私のドイツ留学体験記

ドイツ・ミュンヘンで語学留学を体験された坂野真子さん(女性)の体験談のご紹介です。大学3年生の年に1年休学し、カナダでの留学を経験された後、ドイツ語ゼロの状態からドイツへ直接渡航する形で留学されました。

坂野真子さん(女性)

  • 坂野真子さん(女性)
  • 大学3年次に1年休学しドイツ語留学を経験。ドイツ語力ゼロの状態からミュンヘンに留学。ドイツの前にはカナダへの留学も経験されています。

2013年の秋、大学3年生の年に、私はドイツ・ミュンヘンへ4ヶ月間(9月~翌年1月)の語学留学に行きました。

初めてのドイツで、初めての寮生活。空港に到着して早々、来るはずのお迎えが来ないというトラブルに見舞われ、やっとの思いで寮に着いたその日、「縁もゆかりもないドイツへ、ドイツ語での挨拶すら勉強せずに来たのは間違いだった」と、後悔の涙を流しました。

でも、それから4ヶ月後の帰国の日。私はドイツでできた友達に見送られながら、自信に満ち溢れた姿でドイツを後にしました。帰りの飛行機の中で涙が止まらなかったことは、今でも鮮明に覚えています。

ここまで読むと、「そもそもドイツ語を話せない状態で、留学なんてできるの?」と、不思議に思われる方もいるかもしれません。

ドイツ語力ゼロの状態でスタートした留学生活はどんなものだったのか、この経験から何を得られたのか。

語学力を理由にドイツ留学を迷っている方の後押しに少しでもなれればと願いながら、私のドイツ留学体験談をお話いたします。

「ヨーロッパに住んでみたい」気持ちがヨーロッパへの留学へ向かわせた

私がドイツ留学を決断するきっかけとなったのは、「人生で一度ヨーロッパに住んでみたい」という単純な想いでした。そうは言っても、始めからドイツ留学を決意できたわけではありません。

もともと英語が好きだった私は、大学は英文学科に進学。中学生の頃から、大学在学中に留学することは決めていたので、無事大学生になれた私は、どんな留学をしようかと考え始めました。

ずっと英語が好きで、もっと英語力を伸ばしたいという思いから、始めは英語圏へ1年間留学に行くプランを検討。最初の数か月間は語学学校に通うことが決まったものの、その先の過ごし方を悩むように。ワーホリという選択肢もありましたが、私にはあまりしっくり来ませんでした。

そんな時、留学エージェントの方から「1年間に2ヶ国へ留学に行くのはどうですか?」との提案が。

それを聞いた私は、「それだ!」と思いました。どうせ行くなら、憧れのヨーロッパに行きたい。

これが、私がヨーロッパ留学を決めた経緯です。

ミュンヘンの街並み

ドイツを選んだのは、今までの人生であまり馴染みのなかった国だったから

正直、ヨーロッパの中で特別ドイツに興味があったわけではありません。むしろ、ヨーロッパの主要国の中では、私の中で1番馴染みのない国だったと思います。

英文学科なので周りに留学へ行く人は多くいましたが、私の知る限りでは、ドイツへ留学に行ったことのある人はいませんでした。

しかし、そのことこそが、私がドイツへ留学に行くことを決めた理由です。

そこには言語習得以上に、自分なりの目的がありました。それは、「知り合いもいない、言葉も分からない国に行った時、自分はどこまで頑張れるのかを知る」ということ。言わば、「自分への挑戦の旅」のようなものだったかもしれません。

スーパーで食材も買えない。留学して1週間、体にはボツボツが

ドイツ語を勉強せずに飛び込んだミュンヘンでの留学生活は、やはり甘いものではありませんでした。

例えば、スーパーでの買い物一つとっても、そこには壁が立ちはだかりました。「ドイツ語のパッケージ」というだけで、何だか不安になってしまい、食材すらも満足に買えなかったのです。

とは言っても、ドイツ留学中は寮に滞在していたので、食事はもちろん自分で用意しなくてはいけません。そこで、当初は絶対に大丈夫だろうと思えたトマトと食パンだけを買って、1週間を過ごしました。

すると、1週間もしないうちに身体には湿疹が。食生活以外にも、環境の変化によるストレスもあったかと思います。でもそんな状態になってやっと、「これではいけない」と思い立つことができました。

そこからは、お尻に火がついたかのように、懸命にドイツ語を勉強する日々が始まります。

私がドイツに留学してよかったと、心から思える理由

スタートこそ前途多難に思えた留学生活でしたが、その後は実に充実した留学生活を送ることができました。

私が心から「ドイツに留学してよかった!」と思える理由は、主に3つあります。

アジア圏以外の方とも多く出会える

英語圏へ留学に行くと、留学の人気スポットということもあり、アジア圏の人に多く出会えます。語学学校だと、想像以上に日本人も多いです。

もちろん、それが悪いわけではありませんし、私自身もドイツ滞在中に、日本人の方にもたくさん助けて頂きました。

しかし、せっかくヨーロッパまで来たのだから、現地の人やアジア諸国以外の方とも出会いたい。その願いが叶ったのが、ドイツ留学でした。

私が通ったスクールの場合、ヨーロッパ諸国、南米諸国出身の方がほとんどで、アジア出身の方は非常に少なかったです。文化が全く異なる人々との出会いは、とても刺激的でした。

歩くだけで楽しい、歴史を感じる街並み

ミュンヘンの街ではよく、ストリートミュージシャンをみかけました。日本だとギター片手に弾き語りしている人が多いですが、ドイツの場合は、多くがバイオリンやコントラバス、時にはピアノが街のど真ん中に現れたことも。

その光景にも驚きましたが、それ以上に驚いたのは、そのクオリティ。足を止めて音楽を聴いたのも、チップを渡したのも、人生でこれが初めてでした。

でも、これがドイツの日常です。歩いていれば、プロかとも思えるような音楽が聴こえる。高層ビルのない、どこを切り取っても絵になる、おとぎ話のような街並み。

本当に、夢見心地な毎日を過ごすことができました。

近隣の国へ気軽に旅行に行ける

学校が休みの日は、ドイツ国内はもちろん、スイス、オーストリア、チェコ等、もっぱら旅行に出かけました。

特にドイツはヨーロッパの中でも中心辺りに位置しているので、どこへ行くにも電車やバスで気軽に旅行へ行きやすかったです。

日本からだと、飛行機代だけで十数万する世界。この機会を逃すまいと、お金と時間の許す限り、とにかくたくさん旅行に行っておきました。

ドイツ留学で得たのは、対人関係や自己の向上に役立つ「人間力」

「人間力を得た」と言うと、少々大袈裟に聞こえるかもしれませんが、ドイツ留学が私を人間的に成長させてくれたのは、紛れもない事実です。

まず、多様性に寛容になることができたこと。文化の全くことなる世界で生きてきた人が同じ屋根の下で暮らすとなると、それはもう驚きの連続でした。買い物をしていても「日本ではありえない」と思うことが多々ありました。

でもそんな場面に何度も遭遇しているうちに、「自分の当たり前は当たり前じゃない」と気付くことができたと同時に、どんなことがあっても動じず、受け入れられるように。

帰国後は外国人がいる職場に就職したのですが、そんな経験も相まってか、コミュニケーションや文化のズレによる大きなトラブルを抱えることもなく、楽しく一緒に働くことができました。

その他にも、「困ったら人に頼る力」「困っている人に自分から手を差し伸べる力」「常に笑顔で明るく人と接する力」「新しいことへの挑戦力」「忍耐力」など、これらは全て留学生活を通して得たスキルだと確信しています。

一方でドイツ語に関してですが、スーパーで食材すら買えないところからスタートして、リアルに「ドイツ語の必要性」に直面したことで、「勉強したい」という気持ちが自然と湧き上がったのは、モチベーションを保つ上での大きな助けとなりました。

CEFRでいうと、A0からスタートして、4ヶ月間でA2程度の会話力は身に付けることができたと感じています。

ドイツ留学に行くことを迷っている方へ

ドイツ留学から帰国して早8年が経ちますが、今でもドイツに帰りたいと思うことが多々あります。過ごしたのはたったの4ヶ月間でしたが、それほどまでにドイツという国は、私にとっては魅力的な国でした。

もちろん、理想とは違う、想像もしていなかった出来事もあると思います。言葉の壁にぶち当たることもあると思います。もちろん、事前にドイツ語を勉強できる余力があるのなら、できる限り勉強していくに越したこともありません。

しかし、ドイツ語力の低さを理由に留学することを躊躇しているとしたら、その必要は全くないと私は思います。

私がそうであったように、現時点でドイツ語が話せなくてもドイツの知識がなくても、意外と何とかなるものです。むしろ、少し自信がないくらいの状態で飛び込む方が、人間的には成長できるのではないか、と私自身は信じています。

一度きりの人生、やった者勝ちです。留学に行ってみたい気持ちがあるのなら、ぜひその一歩を踏み出してほしいと、心から願っています。

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