アメリカの教育制度

アメリカの教育制度

アメリカに留学しようと考えると、アメリカの教育システムについて知識を持っておくと、どういったルートで留学できるのか、そしてその先の進学などについても道筋が見えてくるようになります。

アメリカ留学の知識として、アメリカの教育制度について知っておきましょう。

アメリカ教育制度の特徴

州により異なる

アメリカの教育制度は州により異なります。そのため、使う教科書やカリキュラム、長期休みなどそれぞれの州にある教育省の学校区で決定できることが多くあるため、学校区を選ぶことが重要になっています。子供の教育のために引っ越す家庭も少なくはありません。

現在では、小学校に5年間、中学校に3年間、高校に4年間通う流れが主流となっています。一部日本のような小学校に6年間、中学校に3年間、高校に3年間通うシステムも残っています。

K-12

幼稚園の5歳又は6歳から高校を卒業するまでを、K-12と呼んでおりこの12年間が義務教育となっています。アメリカでは高校も義務教育に含まれている点が日本と大きく違います。

しかし州により中学校が2年の学校もあれば、3年の学校もあります。2年制をミドルスクール、3年制とジュニアハイスクールと呼ぶのですが、たとえばカリフォルニア州はミドルスクールがほとんどでジュニアハイスクールはあまりありません。

公立と私立の違い

公立の学校は私立と比べて学費が安いため、85%の学生が公立の学校に通います。しかし私立学校はそれぞれ学校によって指導方法や教育の質、また生徒の人数が異なり、学区に関係なく学校が選ぶことから、私立学校を選ぶ生徒もいます。

また私立学校の中には、全寮制の学校もあり24時間生徒のサポートをしてくれます。

日本から、アメリカの高校に留学する場合は、多くの場合でこの全寮制の高校へ留学することになります。

9月から開始

アメリカは9月から年度が始まり5月に終わることが多いです。夏休みは3か月あり宿題がないことが通常なのですが、家族と時間を過ごしたり、サマースクールに通ったり、ボランティアをしたりと様々な過ごし方をします。この点も自主性を重んじるアメリカの教育制度の傾向がでています。

飛び級制度

アメリカでは、中学、高校、大学に入学する時日本のように年齢が決まっていません。学力が十分に必要なレベルに達していると判断されれば、早めに入学することも、飛び級することもあります。しかし学力が足りていないと判断されれば、留年する可能性もあります。

教育政策

アメリカの教育政策には、主に二つの政策があります。それぞれを詳しくご紹介します。

コモンコアステートスタンダード

アメリカでは、国籍、性別、家庭事情、移民などを問わず教育を受ける権利があるとしています。また州それぞれが主体となって教育の権限が与えられてはいるのですが、そうなると州ごとでの教育レベルの格差が問題となります。

コモンコアステートスタンダード(Common Core State Standards)は、アメリカで義務教育期間中に一定の教育水準目標を規定したもので、州が主体となっている取組です。大学へ行くために、また就職ができるために義務教育期間中のカリキュラムを、英語と数学の領域で各グレードに応じてスタンダード化し、州間での教育水準の格差を是正してこうというものです。

2019年時点で、41の州とワシントンDCでこの取り組みが採用されています。

STEM教育

STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)の頭文字をとった略称で、サイエンスやエンジニアなどを目指す人たちを育てるための教育方針がアメリカで盛んです。日本でもここ数年このSTEM教育に注目が集まるようになってきています。

日本との違い

ここまで説明をしていた以外にも、アメリカの教育制度には日本と違う点があります。

生徒によって受ける授業が異なる

アメリカの高校は単位制であり、同じ学年で集まることも、特定のクラスがあることもありません。日本の大学と同じように、受講するクラスルームがあるビルに移動をします。

自主性重視

アメリカは自主性や個性を育てることを重視します。小学校の間は、親が参加することが多く、送り迎えはほぼ親がする必要があります。そのため、親は学校の様子をよく理解していることが多いです。

中学に入ると、自主性、また自己管理能力を育てことに重点を置き、本人の意思で選択をできる授業が多くあります。また自分で教室まで移動をしないといけないので、時間などの管理能力がつくようになります。日本のようにクラスメイトでも同じ行動をするというわけではありません。

またプレゼンテーションや、意見の交換、エッセイなど自分の意見を人前で発表する回数が圧倒的に日本よりも多いです。歴史の授業などでも、暗記をするだけでなく「なぜそのような事件が起こったのか」「あなたその場にいたらどうするのか」などの自分の考えを持ち、相手に伝える授業が多いです。

モンテッソーリ教育(イタリアの医学博士が開発した教育方法)とよばれる、「自立した人間を育てること」を主体とした考えを取り入れている学校がアメリカには多く、通常のクラスとモンテッソーリ教育のクラスをわけている学校も公立、私立関係なく存在しています。

モンテッソーリ教育を受けさせたいけど、高い教育費を支払えないといった親にとって、公立の学校にモンテッソーリ教育のクラスがあると、たちまち大人気となるのです。教科書がなく、成績表、テストもありません。興味のあることに対し自分達の意見をまとめ、発表していきます。

ESL

ESLとは、English as a Second Language。英語を母国語としない人のためのクラスのことを指します。

アメリカは英語を母国語としない人達にも差別をすることなく、教育を受ける場を提供する国です。それでも通常のクラスには英語力が足りないと判断した場合は、英語を母国語としない生徒のために、通常のクラス、また大学進学ができるように英語のクラスを実施している学校が多くあります。

多くの場合は、これらのクラスをパスした後に、通常のクラスへと上がることが多いです。

ここでいうESLは、語学学校とは違い、大学や2年制大学(コミカレ)などで留学生向けの英語レッスンを行うプログラムも指しています。

以上のように、アメリカの教育制度は日本と大きく違います。協調性を重んじる日本に対して、アメリカ自主性を重んじる国です。そのためアメリカの子ども達は、小さなころから自分で考え、自分の意見を人前で話すことが出来る環境が整っています。

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