イギリスの医療制度(NHS)

イギリスの医療制度(NHS)

イギリスには日本の国民保険と同じように、国民皆保険制度があり、National Health Service=NHSと呼ばれています。NHSでは基本的に医療費の負担が必要ありません。この制度の適応はイギリスへ留学する留学生にも及び、留学やワーキングホリデーで6ヶ月以上イギリスに滞在しビザの発給を受けている場合、医療費負担なくイギリスの医療サービスを受けることができます。

ただし、このNHSの医療サービスを受けるためにも、いろいろな制約があったりします。

NHSとは

NHSとは、前述したようにNational Health Serviceの頭文字をとっています。NHSの制度は1948年に始まり、現在では世界で最も大きな公的資金による健康保険制度となっています。所得に関係なく全ての国民に開かれた健康保険をという長年の構想から生まれ、日本でもこのイギリスのNHS制度を参考に現在の国民保険制度が形作られました。

ですが、日本と同じように医療費の支出が増加し、医療費自体も高騰していることにより負担の増額も避けられないため、このNHS制度も現在では岐路に立たされています。

医療サービス料金の支払い

6ヶ月以上イギリスへ留学する場合やワーキングホリデーで滞在する場合、事前に日本にいる間にビザの申請が必要になります。

ビザの申請の際に、滞在期間に応じて医療サービスへの支払いが必要になります。この医療サービス料の支払はビザの申請時に必須となりますので、医療サービス料を支払わないでビザの申請だけを行うということはできません。

2020年現在で、医療サービス料は以下の通り徴収されています。

学生ビザ(Tier4) 年間£300(約¥45,000)
11ヵ月英語学習ビザ 年間£300(約¥45,000)
YMSワーホリビザ 年間£300(約¥45,000)

※医療サービス料の料金は予告なく変更となる場合もありますので、最新の情報はUK.GOVウェブサイトでご確認ください

外国人カードBRPの取得

NHSの医療サービスを受けるためには、イギリス入国後に外国人登録カード(BRP)を取得する必要があります。

このカードはNHSの医療サービスを受けるためだけでなく、イギリスに6ヶ月以上滞在するためには必須となります。イギリス入国後10日以内にビザ発給時に指定された郵便局にてBRPカードの取得が必要となります。

GPへの登録

その後、GP(General Practioner)というかかりつけ医に登録しなければなりません。かかりつけ医ですので、日本で言う内科クリニックなどの町医者的な存在です。

日本のように近くにあるクリニックに予約して初診してもらったり、他のクリニックで診てもらって、その場で医療制度の適応があって3割負担といった感じではありません。

NHSの医療制度の適応を受けるためには、まずはかかりつけ医GPの登録を事前に行う必要があります。

なお、最近では急に人口の増えたエリアなどで、最寄りのGPに登録できないという状況も発生しています。これは1GPが受け持つ人数が増えすぎてしまうと、対応しきれないという状況を避けるためにGPが登録者数を制限しているからです。この場合は近隣のGPを紹介される、もしくはNHSのサイトに問い合わせをするように指示されますので、その指示に従い、必ずGP登録を済ませましょう。

その後通常は登録したGPにおいて、GPもしくは看護師によって健康状態を把握するための面会が設定されます。

なお、先の項目で述べた通り、GPでの診察料、治療費は無料となっております。ただしGPから薬が処方された場合は、薬代の支払いがかかりますが、薬のタイプ、量にかかわらず、一つの薬あたり約9ポンド(2020年4月現在)となっています。またイギリスでは医薬分業が一般的で、薬はGPからではなく、GP最寄りの薬局で受け取ります。

NHSのデメリット

繰り返しとなりますが、NHSの適応があると無料で診療してもらえます(ただし歯科治療は適応外)。救急対応や検診なども無料の対象となっていたりもします。入院や手術なども無料となっています。

優れた制度ではあるのですが、デメリットとしては、すぐには診てもらえないという点です。

1ヶ月以上待つこともあれば、最悪1年以上ということもあったりするようです。そのため少々の風邪や熱では医者にかからないということもざらにあるようです。

例えば日本では一般的な風邪の症状でもすぐにお医者さんに診てもらうという人が多いでしょう。しかしイギリスでは風邪をひいたら、薬局で風邪薬などを購入し、家で安静にしていて治すという人がほとんどです。

またインフルエンザにかかった場合も症状が長引かない限り、病院にかかりインフルエンザ治療薬を処方してもらうことはなく、イギリスでは他の風邪同様にひたすら寝て治すのが一般的となっています。

また日本では風邪の症状であれば内科、中耳炎のような症状であれば耳鼻科、皮膚に異常があれば皮膚科、と自ら専門医を選んで病院に足を運ぶことができますが、イギリスではどのような症状であってもまずはGPの診察が必要となります。

NHSのGPかかりつけ医は、もちろんイギリスのかかりつけ医となりますので、対応は英語でとなります。

NHSに代わる代替手段

イギリスの医療制度NHSには、このようなデメリットがあるので、すぐに診察してほしいといった希望がある場合や、日本語が通じるクリニックが安心といった希望がある場合は、NHSの対象ではないプライベート医院を利用することになります。ロンドン市内には複数の日系クリニックがありますが、すべてプライベート医院となります。

プライベート医院は、NHSの対象ではないので、有料となります。そのため、プライベート医院にも診察してもらう可能性があるのであれば、NHSがあるからと安心するのではなく、事前に日本から海外留学保険や海外旅行保険に加入しておくことを強くお勧めします。

プライベート医院によっては、海外留学保険や旅行保険の適応対象外になっている場合もありますので、適応対象となっていることを事前に確認して診察してもらうようにしてください。

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NHSのサービス

緊急的に医療的なサポートやアドバイスが必要となった場合、NHS111にダイアルすることができます。

深刻な病気やケガを負った場合、999に電話することもできます。999に電話をすると救急車を手配することが可能です。また救急車が必要でないとしても、緊急な医療処置が必要とみられる場合はA&E(救急センター)に直接足を運ぶことも可能です。A&Eにかかるのに予約の必要はありません。

なお、通常旅行者などのビザを持たず、医療サービス料金を支払っていない短期滞在者はNHSのサービスを受けることができませんが、A&Eにかかることはでき、A&Eでの治療費もかかりません。ただし、短期滞在者はその後継続の治療、入院が必要になった場合は医療費の支払いが発生します。

また軽いケガや病気になった場合で、主治医であるGPの手術がなかなか待てない場合は、NHSのケアセンターやウォークインセンターを訪ねることができます。

罹患が良く見られる軽い病気(例えば嘔吐下痢など)にかかった場合、薬剤師にアドバイスを求めることができます。薬剤師は街中にあるケミスト(薬局)のほか、BootsやSuperdrugと言ったチェーン店系の薬局にも常駐していて、自分の症状にあった薬選びのサポートをしてくれます。

前述のとおり、緊急でなく気分がすぐれない場合は、GPとアポイントメントが取れます。

堀江保夫(編集長)

英語圏を中心とした留学を無料でサポートしているトランスリエゾン株式会社)のマーケティングを統括。大学進学希望者へのカウンセリングも行っています。留学経験者の体験をヒアリングしながら記事の作成をまとめています。

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