イギリスのマナーとタブー 留学前に知っておく日本の文化との違い

イギリスは日本と同じく「礼儀」を重んじますが、その根底にある文化や価値観は異なります。
列の並び方や会話の間の取り方、食事の音、公共の場での距離感など、実は日本以上に暗黙のルールが多いのがイギリスというお国柄なんです。
この記事では、イギリス留学前に知っておきたいマナーについて「なぜ必要なのか」という背景とともに解説します。
イギリス留学で最初に押さえるべき文化とマナーの基礎ガイド
イギリスでは「知らなかった」という理由は通用しにくく、たとえ些細なマナー違反でも、その場の空気を一気に悪くしてしまうことがあります。
アメリカのように賑やかで自由な行動が好まれるわけではなく、「紳士の国」として落ち着いた礼儀正しい振る舞いを求められます。
この章では、イギリス留学前にぜひ押さえておきたい「やってはいけないマナー」と「避けるべきタブー」について、具体例を交えて詳しく解説していきます。
イギリス人の前で不用意に話すと空気が凍る4つの話題
話題 | なぜ避けるべきか(イギリスならではの背景) | 現地での具体的NG例 |
---|---|---|
王室の批判や揶揄 | 国の象徴として敬意を持つ人が多く、軽口でも不敬と受け取られる | ジョーク半分でチャールズ国王や故エリザベス女王をからかう |
移民・EU離脱の是非 | 家族や職場に移民ルーツの人が多く、意見の分断が深刻化 | 「移民が多すぎる」などの一言や、Brexitを断定的に批判/賛成する発言 |
宗教観への評価 | 教会文化や信仰を人生の一部とする人も多く、無宗教的発言が不快感を与える | 「宗教ってもう時代遅れだよね」などの軽視する発言 |
戦争・過去の軍事介入 | 家族や知人に従軍経験者がいることも多く、冗談や軽視は禁物 | イラク戦争やフォークランド紛争の是非を笑い混じりに語る |
特に親しい関係でない相手との会話では、以下の4つの話題はタブーとされています。冗談のつもりでも、相手にとっては非常にデリケートな問題である可能性があるため、注意が必要です。
王室の批判や揶揄
王室は国の象徴であり、多くの国民が敬意を持っています。ジョーク半分でチャールズ国王や故エリザベス女王をからかうことは、不敬と受け取られ、特に年配の世代には強い反感を招く可能性があります。彼らにとって王室は単なる観光資源ではなく、国の歴史や伝統、国民のアイデンティティに深く結びついた存在です。
移民・EU離脱の是非
ブレグジット(EU離脱)は、イギリス社会に深刻な分断をもたらしました。この話題は、個人のアイデンティティや、家族・友人のルーツ、職場環境に直結する非常に個人的な問題です。「移民が多すぎる」といった一言は、目の前にいる人が移民ルーツを持つ可能性もあり、大きな不快感を与えることになります。
宗教観への評価
イギリスでは無宗教の人も多いですが、キリスト教の教会文化や信仰は依然として社会に根付いています。人生の節目を教会で迎える人も多く、「宗教ってもう時代遅れだよね」といった軽視する発言は、相手の信念や文化を否定されたと感じさせかねません。
戦争・過去の軍事介入
家族や親戚、友人に従軍経験者がいることは珍しくありません。イラク戦争やフォークランド紛争といった歴史的出来事を軽々しく語ったり、笑い話にすることは、従軍者の経験や犠牲、そしてその家族の感情を軽んじる行為と見なされます。これらの話題は、個人的な悲しみやトラウマに触れる可能性があり、非常に慎重な扱いが求められます。
意外に見られてる!食事のマナーと日常生活の立ち振舞について
場面 | 避けたい行動 | 文化的背景 | 代わりの行動・工夫 |
---|---|---|---|
食事中の音 | 麺やスープをすする | 静かな食事は「相手への敬意」の象徴であり、音は動物的・無作法とされやすい | スプーンで少量ずつ口に運ぶ。温度が高い場合も息を吹きかけず、冷ましてから飲む |
カトラリーの置き方 | 手を離して机に置きっぱなし | カトラリーの位置で「食事中」か「終了」かを示す習慣があり、間違えると混乱させる | 食事中はフォークとナイフをハの字に、終了時は平行に揃えて皿の右側に置く |
列の待ち方 | 割り込みや間隔を詰めすぎる | キュー(Queue)は秩序の象徴で、間隔を保つのも個人空間の尊重 | 前の人と半歩〜一歩空ける。会釈や一言の挨拶で「順番を意識している」ことを示す |
公共交通での態度 | 混雑時に大声や長時間通話 | 「静けさの共有」が公共空間の礼儀で、音は疲労やストレスの原因になる | 通話は車外か、必要な場合は短く低声で。音楽はイヤホンで漏れない音量にする |
歩道や店舗での動き | 急停止や中央での立ち話 | 通行の妨げは「相手の時間を奪う」行為と受け止められる | 立ち止まる場合は端へ寄る。地図やスマホを見るときも人の流れから外れる |
イギリスの日常では、「音」「距離」「流れ」の3つを意識するだけで、良い印象を与えることができます。
食事の席での音
音を立てない: スープや麺をすする音はマナー違反とされます。日本では「美味しさ」を示す行為とされることもありますが、イギリスでは静かに食事をすることが「相手への敬意」の象徴です。熱いスープは息を吹きかけるのではなく、スプーンで少量ずつ口に運び、ゆっくりと冷ましながら飲むのがスマートです。
公共の場での人との距離
列の待ち方(キュー文化): 割り込みは厳禁です。前の人との距離を約1メートル保ちましょう。イギリス人は列に並ぶことを非常に重要視しており、これは「他人の時間と順番を尊重する」という文化の現れです。もし意図せず列を乱してしまった場合は、「Sorry」の一言を添えることで、相手に誠意が伝わります。
公共の場での人の流れ
歩道での動き: 人の流れを妨げないよう、立ち止まる際は道の端に寄るのがマナーです。突然立ち止まる行為は、後ろを歩いている人のリズムを崩し、場合によっては衝突の原因にもなります。地図やスマートフォンを見る際も、必ず端に寄ることを意識しましょう。
知らないと損する!イギリスの外食・パブ・ティー文化の基礎マナーと楽しみ方

イギリスのパブやティー文化、そして食事の場は、単なる飲食の時間ではなく、現地の人々の生活や価値観が凝縮された社交の場です。
イギリス文化をより深く楽しみたいなら、こうした「お国柄の食事マナー」にも目を向けておくと、現地での会話のきっかけや交流の幅が広がるでしょう。
この章では、イギリスを存分に味わい、現地の人々と自然に打ち解けるために知っておきたい、食事のマナーや立ち振る舞いのポイントを解説します。
現地の人と打ち解ける!パブでの注文・楽しみ方のマナー
パブに入ったらまず席に座る前にカウンターへ行き、注文と支払いを済ませるのが、基本マナーです。
日本の居酒屋のように席に着いてから注文を待つと、店員に不思議そうな顔をされるでしょう。ビールは銘柄をしっかり伝え、サイズ(パイントやハーフ)も指定すること。
混雑時はグラスをカウンターまで返すと好印象を持たれやすいです。
パブの料理の定番は、なんと言っても「フィッシュ&チップス」。
新聞紙風の包みから皿に盛られたフィッシュ&チップスをモルトビネガー(お酢)を軽く振って食べるのが、本場流。
日曜日の昼から夕方にかけて家族や友人が集まり、ゆっくりと味わう「サンデーロースト」もイギリスを代表する伝統料理であり、パブの代表メニューです。
大きな塊肉(ビーフ、ラム、チキンなど)をローストし、ヨークシャープディング、ローストポテト、季節の野菜、グレイビーソースを添えていただくのが基本です。
教会礼拝後の食事として発展した歴史があり、単なる「ごちそう」ではなく、家族の絆を深める時間そのものを象徴します。
外食でも日曜日限定で提供されることが多く、現地の人はこの食事を楽しみに一週間を過ごす人もいるほどのメニューなので、ぜひマナーを守りながらイギリスの名物料理に舌鼓を打ってみてください。
知らないと戸惑う!イギリス外食での注文・支払い・チップのマナー
イギリスでは、パブやレストランで大声で店員を呼ぶのは失礼とされます。
店員は客席を巡回しているので、目が合ったときに軽く手を挙げるか、静かに声をかけるのがスマートです。
注文もせかさず、メニューをしっかり決めてから頼むのも、マナーの1つです。
日本人にとっては馴染みが薄いチップは、高級なレストランやカフェでは会計額の10〜15%が目安となっており、それよりも少なすぎるのは基本的にマナー違反とされます。
ただし、必ずしもチップを現金で渡す必要はありません。チップをカード払いする際には「サービス料込み」かを必ず確認し、二重払いを避けましょう。
パブなど普段使いの店では基本的にチップは不要ですが、特別な対応を受けた場合は小銭を残すこともあります。
スコーンの割り方から紅茶の注ぎ方まで:本場ティー文化の奥深きマナー

ティー文化では、アフタヌーンティーの振る舞いに地域ごとの流儀が存在するのをご存じでしょうか。
紅茶は先に注ぐか、ミルクを先に入れるかで意見が分かれるほどで、BBCの調査でも「先に紅茶」が主流とされつつ、地方や家庭で異なるのが面白いところです。
紅茶を飲む際の基本マナーは以下の5つを意識すると安心です。
- カップは取っ手を持ち、反対の手は添えない
- スプーンは音を立てず前後に静かに回す
- スプーンは飲む前にカップから出してソーサーに置く
- すすらず、一口ずつ静かに味わう
- カップは持ち上げたまま会話を中断しない
そして、紅茶のお供といえばスコーン。横半分に割って、クロテッドクリームとジャムを塗るのが基本ですが「クリーム先かジャム先か」で激論になるのがイギリスらしいところでしょう。
デヴォン式(クリーム→ジャム)、コーンウォール式(ジャム→クリーム)と呼ばれ、観光地のイベントでも取り上げられるほど話題になりますが、こうした違いを気にしすぎる必要はありません。
むしろ、友人や現地の人と一緒に紅茶を楽しむときに「そっちはどっち派?」と聞いてみると、自然と会話が弾みます。
紅茶の味わいとともに、その一杯に込められた文化や小さなこだわりを感じることこそ、イギリスのティータイムの醍醐味です。
距離感とタイミングが鍵!イギリス流エチケットの心得
場面 | 守るべきエチケット | ポイント |
---|---|---|
初対面の挨拶 | 握手を軽く交わし、相手の目を見る | 強く握りすぎず、短い一言と笑顔を添える |
日常会話 | 相手の話を最後まで聞き、適度に相槌を打つ | 話題は天気や週末の過ごし方など無難な内容から始める |
公共交通機関 | 車内では静かに過ごし、席は譲る | 通話は短く低い声で、音楽は漏れない音量に |
歩道・店舗 | 立ち止まる時は必ず端による | 人の流れを遮らず、動線を確保する意識を持つ |
イギリスでのエチケットは、相手と自分が気持ちよく空間を共有するための“暗黙のマナー”です。日本との違いを比較しながら、具体的な行動について解説します。
初対面の挨拶
初対面では、軽い握手とアイコンタクトが基本です。握手は強く握りすぎず、短い挨拶と笑顔を添えましょう。日本では会釈や言葉だけの挨拶が多いですが、イギリスでは身体的な接触が信頼を築く第一歩と見なされます。
日常会話
会話は、相手が話し終わるのを待ってから、適度な相槌を打つことが大切です。相手の言葉を遮るのは失礼にあたります。最初は天気や週末の過ごし方、趣味など、当たり障りのない話題から始めましょう。個人的な質問(例:「仕事は何をしていますか?」)も、ある程度親しくなってからの方が無難です。
公共交通機関
車内では静かに過ごすことがマナーとされています。携帯電話の通話は短く低い声で、音楽はイヤホンから音が漏れないように注意が必要です。また、高齢者や妊婦、小さな子どもを連れた人には席を譲るのが当然の行いと見なされます。
歩道や店舗での振る舞い
人の流れを妨げないことが大切です。急に立ち止まる際は必ず道の端に寄り、後ろの人に配慮しましょう。特に駅やデパートなど、人が多い場所では、地図やスマートフォンを見る際も、一度立ち止まって端に移動する意識が重要です。
知っておくと安心!イギリスと日本の公の場マナー徹底比較
項目 | 日本のマナー | イギリスのマナー | 背景・理由 |
---|---|---|---|
エスカレーターの立ち位置 | 左側に立ち、右側を空ける(東京の場合) | 右側に立ち、左側を空ける(ロンドン) | 都市ごとの慣習が固定化しており、秩序を保つため |
レディーファースト | 明確な習慣はなく、状況次第 | ドアやエレベーターで女性を先に通すのが基本 | 紳士的態度が社交の一部として重視されている |
人との距離感(物理的) | 公共の場では比較的近くに立つ | 1メートルほど距離を保つことが多い | パーソナルスペースを重視する文化 |
人との距離感(心理的) | 初対面でも世間話に踏み込みやすい | 個人的な話題は親しくなるまで避ける | プライバシー意識が高く、境界を明確に保つ |
公共交通機関での振る舞い | 混雑時でも会話は普通に行う場合がある | 静かに過ごすのがマナー、小声で最低限の会話 | 周囲への静寂配慮が習慣化している |
イギリスと日本のマナーは、一見似ているようで、その背景にある文化や価値観は大きく異なります。
エスカレーターの立ち位置
日本では東京と大阪で左右が異なるように、イギリスでもロンドンでは右側に立ち、左側を急いでいる人のために空けるのが一般的です。これは、都市の秩序を保つための暗黙のルールです。
レディーファースト
「紳士の国」と呼ばれるイギリスでは、レディーファーストが生活に深く根付いています。ドアやエレベーターで女性や年配者を先に通すことは、相手への敬意を示す自然な行動として認識されています。
人との物理的・心理的距離
イギリスでは、相手との間に約1メートル、つまり腕一本分ほどの物理的な距離を保つことが一般的です。これは、個人の空間(パーソナルスペース)を尊重する文化が強いためです。また、初対面の人と個人的な話題に踏み込むことは避けられ、親しくなるまでは天気や趣味など、当たり障りのない話題で会話を楽しみます。
公共交通機関での振る舞い
日本では混雑した電車内でも、友人同士で普通の声量で会話することがありますが、イギリスでは公共の場での静けさを重視します。会話は小声で最低限に抑え、周囲の平穏な時間を妨げないように配慮することがマナーとされています。
よくある質問(FAQ)
Q1. イギリス留学で一番注意すべきマナーは何ですか?
A1. 最も重要なのは「キュー文化(列の順番を守る)」です。割り込みは厳禁で、前の人との距離を適度に保ちましょう。これは「相手の時間と権利を尊重する」文化の象徴です。出発前に基本的な公共マナーを理解しておくことで、現地での不安も和らぎます。
Q2. イギリスの食事マナーで日本人がよく失敗する点は?
A2. 一番多いのは「音を立てて食べてしまう」ことです。特にスープやパスタをすするのはタブーとされています。ナイフとフォークの置き方や、チップの支払い方法も留学前に確認しておくと安心です。
Q3. パブや紅茶の場で気をつけるべきタブーはありますか?
A3. パブでは席で注文を待たず、カウンターで注文と支払いを済ませましょう。紅茶はすすらず、スプーンを音を立てずに回すのが基本です。こうした小さな習慣が、現地の人から「礼儀正しい留学生」として好印象を持たれるきっかけになります。
Q4. 会話で避けたほうがいい話題は何ですか?
A4. 王室批判、移民やブレグジットの是非、宗教観、戦争の話は避けるべきです。これらは非常にデリケートな話題であり、冗談でも相手を不快にさせてしまう可能性があります。最初は天気や趣味、旅行など、無難な話題から始めるのが安心です。
Q5. マナーや文化の違いが不安なときはどうすればいいですか?
A5. 一人で抱え込まず、経験者や専門家に相談するのが一番です。イギリス留学準備に特化したアドバイザーや現地サポートがあれば、出発前の不安を「安心」に変えられます。今ならLINE公式アカウントに登録することで、無料で最新の現地情報や準備チェックリストを受け取れます。留学を失敗しないためにも、まずは気軽に登録してみてください!
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イギリスは日本と似た礼儀文化を持ちながらも、細部に独自の価値観が息づく国です。
食事でのマナーや独特なパブ文化、レディーファーストなどはその文化とマナーの一例です。
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